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人件費・物価高騰で資金繰りが厳しくなった際の融資制度

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年商3億円未満の会社のための財務改革 ミライ財務®

こんにちは!

経営コンサルタント・税理士の森です。

本日は、人件費・物価高騰で資金繰りが厳しくなった際の融資制度についてお伝えします。

人件費や物価高騰が原因で資金繰りが厳しくなっている中小企業のために、日本政策金融公庫や信用保証協会には融資制度や保証制度が用意されています。もちろん申請する事業者の経営内容や財務内容、金融機関取引状況によっては、利用できないことがあります。が、まずは「どの金融機関」に、「どの制度」で申し込むかを頭に入れておけば、顧客企業の状況に応じて柔軟に経営者へ提案できるでしょう。

1.融資依頼をする順番

下記に紹介する融資制度や保証制度を利用するときは、依頼する順番が大切。以下の順番で融資を依頼しましょう。

(1)懇意にしている民間金融機関(メインバンクなど)

メインバンク、サブバンクなど懇意にしている民間金融機関があれば、真っ先に相談したいところです。親身な姿勢で相談にのってくれる可能性が高く、使える信用保証制度を指定して「○○という信用保証制度による融資を」と依頼すれば、前向きに取り組んでもらえるでしょう。

(2)商工会・商工会議所

中小企業にとって比較的利用しやすいのが、公庫の「マル経融資(小規模事業者経営改善資金)」です。「商工会、商工会議所又は都道府県商工会連合会の実施する経営指導を受けている小規模事業者(商工業者に限る。)であって、商工会、商工会議所等の長の推薦を受けた方」が利用できる制度です。

もし顧客企業が商工会や商工会議所の会員なら、申し込みの優先順位が高い融資制度といえるでしょう。また一方、商工会や商工会議所の会員でなくても利用できますが、会員/非会員では経営指導員の熱意が違ってきます。

(3)日本政策金融公庫

懇意にしている民間金融機関がなく、商工会や商工会議所の会員でもない場合は、日本政策金融公庫の「経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)」の利用を検討しましょう。

(4)懇意にしていない民間金融機関

懇意にしている民間金融機関も、会員になっている商工会・商工会議所もなく、公庫の「経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)」も断られると、残るは「懇意にしていない民間金融機関」。ただし融資してもらえる確率はかなり低いと思います。「ダメ元」くらいの覚悟が必要でしょう。

(5)どこからも貸してもらえない場合

(1)~(4)すべて依頼して断られた場合、事業継続のために資金流出を止める必要があります。そのために真っ先に俎上に載せたいのが、「リスケ」。いま融資取引をしている金融機関に対し、すみやかに下記のようにリスケ依頼をしましょう。

事業者:

「追加融資をしてもらえなければ事業を継続していくために「リスケ」をしなければなりません」ここで「追加融資をしてもらえなければ」という前置きは重要です。金融機関に深刻度が伝わり、追加融資への積極度が(多少)向上する可能性があります。

2.【信用保証協会】物価高騰対策資金・緊急経済対策資金等

以下はそれぞれの融資制度の説明です。

物価高騰・人件費高騰に対応するための融資制度は、各地方自治体にあります。そのほとんどが、信用保証協会の保証つき融資です。制度名は、地方自治体によって違います。

「地方自治体名(都道府県・市区町村)」+「物価高騰」+「融資」で検索すると、対応する制度名が出てくるでしょう。あらかじめ地元の地方自治体(都道府県・市区町村)の対象となる制度を調べておき、懇意にしている民間金融機関に出向いて、その制度を利用した融資の申請をしてください。

 

3.【日本政策金融公庫】マル経融資(小規模事業者経営改善資金)

商工会議所や商工会などの経営指導を受けている小規模事業者の商工業者が、経営改善に必要な資金を無担保・無保証人で利用できる制度です。

<利用できる方>

商工会、商工会議所又は都道府県商工会連合会の実施する経営指導を受けている小規模事業者(商工業者に限る。)であって、商工会、商工会議所等の長の推薦を受けた方

<融資限度額>

2,000万円

<返済期間>

運転資金 7年以内(据置期間 1年以内)

設備資金 10年以内(据置期間 2年以内)

4.経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)

社会的、経済的環境の変化などにより、一時的に業況の悪化を来している中小企業が経営基盤の強化を図るために利用できる融資制度です。

<利用できる方>

社会的、経済的環境の変化等外的要因により、一時的に売上の減少等業況悪化をきたしているが、中長期的にはその業況が回復し発展することが見込まれる方で、次のいずれかに該当する方

(1)最近の決算期における売上高が前期または前々期に比し5%以上減少している方

(2)最近3ヵ月の売上高が前年同期または前々年同期に比し5%以上減少しており、かつ、今後も売上減少が見込まれる方

(3)最近の決算期における純利益額または売上高経常利益率が前期または前々期に比し悪化している方

(4)最近の取引条件が回収条件の長期化または支払条件の短縮化等により、0.1ヵ月以上悪化している方

(5)社会的な要因による一時的な業況悪化により資金繰りに著しい支障を来している方または来すおそれのある方

(6)最近の決算期において、赤字幅が縮小したものの税引前損益または経常損益で損失を生じている方

(7)前期の決算期において、税引前損益または経常損益で損失を生じており、最近の決算期において、利益が増加したものの利益準備金及び任意積立金等の合計額を上回る繰越欠損金を有している方

(8)前期の決算期において、税引前損益または経常損益で損失を生じており、最近の決算期において、利益が増加したものの債務償還年数が15年以上である方

※「物価高騰」「人件費高騰」の影響を受けているのは、上記(5)に該当します。

<利用限度額>

4,800万円

<返済期間>

運転資金  8年以内(据置期間 3年以内)

設備資金 15年以内(据置期間 3年以内)

人件費・物価高騰による資金繰りの悪化に伴う士業・コンサルタントへの融資相談は、今後ますます増えてくるでしょう。しかし資金繰りに苦しんでいる中小企業が、今まで縁もゆかりもない金融機関をいきなり訪問して融資を依頼しても、絶対に助けてくれません。今後スムーズに融資をしてもらうためには、「懇意にしている民間金融機関」を持っておくことが必須。とはいえ残念なことに、そのような金融機関を持っていない中小企業は少なくありません。

融資の相談を受ける士業・コンサルタントにとっては、「懇意にしている民間金融機関」との取引の重要性を経営者に伝えることが重要。また同時に、新たな金融機関を開拓するサポートも大いに求められるでしょう。

ご閲覧ありがとうございました!

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