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経営者保証解除の交渉ポイント

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こんにちは!

経営コンサルタント・税理士の森です。

本日は、経営者保証解除の交渉ポイントについてお伝えします。

2022年12月23日に発表された「経営者保証改革プログラム」の内容を踏まえて、経営者保証解除の交渉を行っていきましょう。

1.現場への浸透にはまだ時間が掛かっている

まだまだ多くの金融機関(特に担当者)が、経営者保証改革プログラムの存在自体を知らない状態です。支店レベルでの対応は「まだこれから」でしょう。

2.金融機関の説明義務

2023年4月から、融資実行時に「経営者保証」を徴求する場合、金融機関は以下の2点について説明する義務が発生します。

1/どの部分が十分ではないために保証契約が必要となるのか

2/どのような改善を図れば保証契約の変更・解除の可能性が高まるか

保証が必要だと言われたら説明を求めよう融資を実行するとき、借入を行う法人は「金銭消費貸借契約証書」に会社名の社名判と実印の押印をして金融機関に提出します。

経営者保証が必要な場合は、「金銭消費貸借契約証書」内の「保証人欄」に、保証すべき経営者が記名と実印を押印しなければなりません。また、同時に「保証約定書」の提出も必要です。

今回発表された「経営者保証改革プログラム」では、その際に金融機関は「経営者保証に関する説明」が必要とされています。しかし現時点だと、上記の対応義務は支店レベルでは浸透していない可能性があります。もし説明がなかった場合は、経営者は金融機関に対してこのように尋ねましょう。

1/今回、経営者保証が必要とのことですが、どの部分が十分ではないために保証契約が必要となるのか、ご教示いただけますか

2/どのような改善を行えば、経営者保証を外してもらえますかこの説明を得たら、指摘された点を改善できるよう、士業・コンサルタントとしてサポートしていきましょう。

3.改善点をクリアできた後の会話例

銀行から説明された改善点がクリアされれば、すみやかに金融機関に出向いて、下記のように経営者保証の解除を願い出ましょう。

「以前ご指摘いただいた点を改善できましたので、経営者保証を解除していただけますか」つまり経営者保証を求められたら、「金融機関の説明を聞く」ことがいちばん重要。この説明内容が、「いつか解除してもらうときの要件」になるからです。

4.記録の写しをもらうこと

「経営者保証改革プログラム」には、「金融機関が経営者等と個人保証契約を締結する場合には、保証契約の必要性等に関し、事業者・保証人に対して個別具体的に以下の説明をすることを求めるとともに、その結果等を記録することを求める」とあります。

金融機関が経営者保証を事業者に求める場合は、上記でお話しした

「1/どの部分が十分ではないのか」

「2/どのような改善が必要か」

を説明すると同時に、その内容を記録しなければなりません。

現時点では、その記録の写しを事業者がもらうことができるかどうか不明です。が、事業者も記録を手元に置いておかないと、「改善点を修正したので保証人解除を」と申請しても、「言った」「言わない」の水掛け論になるでしょう。

記録の写しは、金融機関から事業者に渡さなければならない可能性が高いと私は考えます。

説明はされたが「記録の写し」を交付してもらえない、もしそんなことがあれば、ぜひ「手元に置きたい」と請求しましょう。

5.説明してもらえない場合の対処法

上記のように金融機関には説明義務があるものの、認識が進んでいない支店がないとは言えません。そのときは、「経営者保証改革プログラム」をプリントアウトして金融機関に持参しましょう。

内容を説明しながら「経営者保証に関する説明」を求めれば、すぐ、というわけにはいかなくても、後日あらためて説明してもらえると思います。

6.それでも説明してもらえないときは支店長に相談

それでも説明してもらえない場合は、2023年4月以降に金融庁に設置されている「経営者保証専用相談窓口」への持ち込みも可能でしょう。「金融機関から経営者保証に関する適切な説明がない」と相談すれば、金融庁から当該金融機関に指導が入ります。

最終的に、指導を受けた金融機関から説明を聞くことができると思います。

しかし、いきなり金融庁への相談はおすすめしません。金融庁への相談は、(金融機関内での)支店の立場をなくしますので、その後の事業者への融資に悪影響を及ぼす可能性があります。

担当者の対応が支店全体、その金融機関全体の見解に沿うものとは限りません。担当者の対応に納得しないからといってすぐ金融庁に持ち込むのではなく、まず支店の「貸付責任者」または「支店長」に相談しましょう。

(1)貸付責任者または支店長への相談例

担当者としかおつきあいがなく、貸付責任者や支店長との接点がなくても気後れは無用です。まずは支店に電話しましょう。

(貸付責任者または支店長に対して)

「経営者保証に関する説明をいただけないようですので…金融庁の相談窓口に相談させていただいてもよろしいでしょうか?」

一般的に取引先からこう相談されると、「担当者から事情を聞きますのでお時間をください」「詳しくお話しいただけませんか」といった言葉が出てくるでしょう。事態の打開がなされる可能性が出てきます。

一方、上記への回答が「どうぞ金融庁にご相談ください」なら、いよいよ相談窓口へ――。と言いたいところですが、もう一段階だけ、相談を持ち込んでいただきたい先があります。

(2)支店長で解決しなければ本部の担当部署へ

できれば金融庁の相談窓口に持ち込む前に、その金融機関の本部の担当部署への連絡をおすすめします。以下はそのときの相談例です。

(金融機関本部の担当部署へ)

「今回の融資実行で経営者保証に関する説明を求めたのですが、いただけませんでした。

支店に「本件を金融庁の相談窓口に相談してもよいか」と尋ねたところ、「どうぞ」とのご回答でしたそこで実際に金融庁の窓口に相談するつもりですが…本当によいのでしょうか?」

金融庁は、指導内容に反した金融機関に個別指導に入ることが少なくありません。一方、金融機関にとっては多大な負荷、できるだけ避けたい事態です。支店レベルで重大性を認識していなくても、本部の担当者は違う見解でしょう。上記の相談を行えば、本部から支店に説明を行うよう指導が入ると思います。

「支店長→本部に相談」へのステップを、面倒だと考える士業・コンサルタントもいるでしょう。しかしご縁のある金融機関ですから、できるだけ穏便に済ませたいと事業者も考えているはずです。

今後も長くおつきあいを続けていくのが、金融機関側・事業者側のどちらにとってもベスト。あなたのお客さまのために、ぜひ上記の段階を踏んでください。

(3)金融庁の相談窓口は最後の手段で

ご覧のように、「担当者」→「支店長」→「本部」という順に相談を持って行くのが筋です。それでも解決しないときのみ、いわば最終手段として、2023年4月以降の設置とされている金融庁の「経営者保証専用相談窓口」に相談を持ち込むことにしましょう。

ご閲覧ありがとうございました!

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