【事例紹介2】土木建設業B社 様
売上のみを追求してきた経営から脱却し利益が出やすい財務体質に変革
(before)
B社は土木関連の工事を行っており、社長は10年以上建設業界で修行を積んでから独立開業した。職人としての経験が長いため、技術は十分に備わっているが、経営者として業績の把握や分析・資金繰りの管理といった計数管理を苦手にしていた。
個人事業主として開業してから数年間は、とにかくがむしゃらに働いた。いつか年商数億円・数十人規模の土建会社になることを夢見て、営業や現場仕事に没頭した。とにかくこだわったのは売上、事業規模を拡大するために同業者間の横の連携も駆使して、売上の拡大に努めた。
順調に売上は増えていったが、事業規模が拡大すれば拡大する程、会社に利益とお金が残らなくなっていくことに気が付いてきた。ただ、会社を大きくしたいという気持ちは変わらない。一体どうすれば良いのだろうか、会社を始めてからひたすらに突っ走ってきたので、
どうすればいいのか分からない・・
(after)
当初は社長自身で経理を行い、確定申告の書類作成のみスポットで地場の税理士に依頼していたが、事業規模が拡大し法人成りをしたタイミングで、弊社顧問先の紹介を通じて弊社に顧問契約を依頼して頂いた。
まず初めに取り組んだのは、売上のみを追求する経営からの脱却である。確かに売上を基準に会社の規模や影響度などが判断される場合があり、いわば売上高は会社の顔である。しかし、売上を上げる事と会社の業績を上げる事とは一致しない場合が多々ある。
今回は、過度に売上を追求する経営をしているがために、採算の合わない仕事の受注や売上の増加に伴って外に出す仕事が増えることによって(外注費の増加)、粗利益率が大きく減少していた。また、売上の増加に伴い、固定費・運転資金が増大し、これらのコストを賄うための借入金も増えている状況であった。
そこで、単に売上を追求するのではなく、現場別に売上・原価・加工時間等を集計し、各現場で一定以上の粗利益率を上げる事を意識していただいた。外に出す仕事も採算がとれていないケースが散見されたので、可能な限り仕事を内製化していただき仕入先の見直しも行っていただいた。
同時に、社長に変革をして頂いたのは、成り行きではなく数字を根拠に具体的な目標を持ちながら経営する意思経営への変革である。感覚ではなく、具体的な数字の根拠を示して経営目標を立てていく。計数計画を検討した結果、前記の売上・粗利益率の見直しに加えて、固定費の削減にも取り組む形となった。営業効果の低い交際費の削減・車両関連費用の削減など、効果の高い経費から順次見直しを行っていった。
その結果、受注する工事の粗利益率が向上し、仕入・外注費などの原価は削減。更に、固定費の削減も実行されたことで、売上が伸びなくても利益が出やすい財務体質に変革した。
今までがむしゃらに頑張ってきた経営から、具体的な売上目標・粗利益率目標・固定費目標を持って、意識した経営に変革することができ、毎月の業績の振り返り・改善も欠かさずに行っている。
社長は一流の職人から、一流の経営者へ進化している途上である。今後のご活躍が非常に楽しみである。