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「目的別」に読む「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」

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こんにちは!

経営コンサルタント・税理士の森です。

本日は、金融庁の中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針の読み方についてお伝えします。

士業・コンサルタントの「業務・目的別」にまとめました。あなたに「こんな顧客がいるなら」、また事業の柱として「こんな支援をしたいなら」、と考えながらお読みください。

おおむね以下のような士業・コンサルタントにおすすめです。

1/経営者保証解除の支援をしたい

2/融資を謝絶された顧客に具体的アドバイスを行いたい

3/金融機関から取引先を紹介してもらいたい

1.金融庁方針に沿って金融機関の対応が変わる理由

まずは金融庁方針の変化によって、金融機関が経営者保証はじめ多彩な業務に関する対応を変える理由をお話ししましょう。金融庁は中小・地域金融機関(地方銀行・第二地方銀行・信用金庫・信用組合)に対し、「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」に基づいた監督・指導をしています。

中小・地域金融機関は「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」の内容を遵守しなければなりません。乖離した業務を行うと、金融庁は是正勧告を行います。

金融庁からの是正勧告があると金融機関にとっては面倒な業務(是正計画策定や金融庁への報告等)が爆発的に増え、通常業務に支障をきたします。

そこで基本的には、「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」に沿って業務を行います。金融庁の方針が変われば、それに沿って対応を変える金融機関が出てくる。そう考えておいて、まず間違いないでしょう。中小・零細企業を支援する士業・コンサルタントは、日ごろから金融庁の動きに注目しておきたいものです。

 

2.業務意向①経営者保証解除の支援をしたい

近年の改訂ではとくに、顧客の「経営者保証解除」の支援がしやすくなります。

改訂内容をまとめると、以下の3点です。

1/個人保証を徴求する際には、金融機関はその理由を説明しなければならなくなった

2/同時に「どうすれば経営者保証を解除できるか」について個別具体的に説明しなければならなくなった

3/金融機関は個人保証を徴求する理由を説明したことを書面又は電子的方法で記録しておかなくてはならなくなった

詳しくは、金融庁ページの以下の部分に目を通しておきましょう。

「Ⅱ 銀行監督上の評価項目」⇒「Ⅱ-3 業務の適切性」

https://www.fsa.go.jp/common/law/guide/chusho/02b.html

⇒「Ⅱ-3-2 利用者保護等」

⇒「Ⅱ-3-2-1-2 主な着眼点」

⇒「(2) 契約時点等における説明」の

  • 商品又は取引の内容及びリスク等に係る説明」と

「② 契約締結の客観的合理的理由の説明」

3.業務意向②融資を断られた顧客に具体的アドバイスをしたい

今回の改訂部分以外にも、中小企業をサポートする士業・コンサルタントが

チェックしたい項目として、「顧客の要望を謝絶し貸付契約に至らない場合」があります。

「金融機関は、顧客の要望を謝絶し貸付契約に至らない場合には、顧客の理解と納得が得られるよう、原則として時間的余裕をもって説明しなければならない」

●【参考】II -3 業務の適切性

https://www.fsa.go.jp/common/law/guide/chusho/02b.html

金融庁ページの、以下の部分に目を通しておきましょう。

「Ⅱ 銀行監督上の評価項目」⇒「Ⅱ-3 業務の適切性」⇒「Ⅱ-3-2 利用者保護等」⇒「Ⅱ-3-2-1-2 主な着眼点」⇒「(5)取引関係の見直し等の場合の対応」の「②顧客の要望を謝絶し貸付契約に至らない場合」

 

金融機関は融資を断るとき、「総合的判断」などの曖昧な理由ではなく、「顧客の理解と納得が得られるよう」具体的に説明しなければなりません。その根拠がこの項目です。

顧客が融資謝絶されたら、かならず理由を尋ねましょう(実際には、顧客から金融機関に尋ねてもらいます)。根拠がわかれば、クリアする道筋を立てられます。次の融資申請のために、顧客と二人三脚で具体的な行動計画を進めていきましょう。

4.業務意向③金融機関から取引先を紹介してもらいたい

金融機関は、士業・コンサルタントなどの専門家の助力を仰ぎたいと考えています。そこで士業・コンサルタント側としては、「どんなときに、どんな方法で」サポートを求められているのかを知っておき、効果的にアプローチしたいですよね。

金融機関から取引先を紹介してもらいたい士業・コンサルタントに一読をおすすめするのは、「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」の以下の部分です。

「Ⅱ 銀行監督上の評価項目」⇒「II -5 地域密着型金融の推進」

https://www.fsa.go.jp/common/law/guide/chusho/02d.html#02_05

⇒「(参考)顧客企業のライフステージ等に応じて提案するソリューション(例)」⇒「金融機関が提案するソリューション」と「外部専門家・外部機関等との連携」

ここで、「金融機関が外部専門家を活用するとき」がわかります。金融機関から取引先を紹介されたい士業・コンサルタントがとくに注目する項目は以下の2ヶ所です。

●「経営改善が必要な顧客企業」

●「事業承継が必要な顧客企業」

「Ⅱ 銀行監督上の評価項目」⇒「II -5 地域密着型金融の推進」

https://www.fsa.go.jp/common/law/guide/chusho/02d.html#02_05

⇒「II-5-2-1 顧客企業に対するコンサルティング機能の発揮」⇒(2)最適なソリューションの提案」にある

「(参考)顧客企業のライフステージ等に応じて提案するソリューション(例)」

「中小・地域金融機関向け監督指針」には、金融機関との交渉をスムーズに、またときには有利に進めるヒントが満載です。たとえば今回改訂された「経営者保証」の箇所を通読しておけば、顧客の「経営者保証解除」の支援がしやすくなります。

また、顧客が取引金融機関から融資を断られても、「中小・地域金融機関向け監督指針」の「顧客の要望を謝絶し貸付契約に至らない場合」の内容を理解していれば、具体的な謝絶理由を臆することなく(これ大事!)尋ねられます。

謝絶理由を教えてくれなければ、「金融庁の中小・地域金融機関向け監督指針には、謝絶理由を伝える、とありますが…」とひとこと付け加えれば、詳細を知らせてくれる可能性が高まります。さらに早期の再度融資依頼のために、謝絶理由の改善のために具体的な行動を顧客にアドバイスできるでしょう。

金融機関と事業者は、あくまでも対等。交渉時も、飾らず話しあう。そんな意識を専門家自身はもちろん、金融機関も、またあなたの顧客である中小企業の経営者にも持っていただけるような行動を心がけたいものです。

ご閲覧ありがとうございました!

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