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固定費を製品原価に入れる合理性とは②

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年商3億円未満の会社のための財務改革 ミライ財務®

こんにちは!

経営コンサルタント・税理士の森です。

本日は、固定費を製品原価に入れる合理性についてお伝えします。

管理会計の世界では、固定費を原価へ配分する「全部原価計算」と、売上に連動して増減する変動費のみを原価へ配分する「直接原価計算」の2種類の計算方法があります。一般的には、「直接原価計算」の方が経営の実態を写しやすく、経営判断に役立つと言われています。

ところで、「全部原価計算」を活用して原価管理・予算策定を行う事に関しても、一定の合理性があり、目的によって直接原価計算とは別に全部原価計算の考え方を取り入れながら経営管理を行っていきましょう。

‘1、製品のリリースまでに掛った経費はどれくらいなのか

材料や外注費等の、売上に連動して増減する変動費だけでは、新製品をリリースできません。新製品を開発するために研究活動を行ったり、店舗を開いたり、雇用する、設備投資する等の固定費が多額に発生している事でしょう。

ですので、製品の販売単価を決定する際には、売上に連動して増減する変動費のみを原価へ配分する「直接原価計算」の考え方だけではなく、その製品のために投資した固定費さえも原価へ配分する「全部原価計算」の発想が必要になってくるのです。

例えば、目標粗利益率20%の製品を販売するのであれば、「材料費が8万円発生するので、10万円で販売すればよい」という考え方は危険です。その製品をリリースするまでの研究費や設備の回収及び更新費用を、その製品の販売益によって回収しなければならないからです。

従って、「仮に予定販売数量を達成できれば、製品1単位当たり1万円程度の利益を割くことで投資が回収できる」というような経営判断を行い、製品の販売単価は11万円以上に設定する事が求められてくるのです(販売単価11万円-材料費8万円-投資回収コスト1万円=粗利益2万円)。この場合の粗利益率は、次のように計算してもよいでしょう。

目標粗利益2万円÷(販売単価11万円-投資回収コスト1万円)=粗利益率20%

‘2、メーカーの販売単価の考え方は

1の例に加えて、自社で製品を製造販売するメーカーの場合は、その製品の製造に必要な人件費を考えて販売単価の計算をする事が求められます。

例えば、直接原価計算の考えで、「販売単価10万円・材料費8万円の製品は、粗利益が出ているので売り続けた方が得」のような発想は危険です。その製品1単位を作るのに、人件費が2万円掛かっていたらどうでしょうか?1で解説した、投資回収コストも稼がなければならないのに、この製品を売り続けても全然利益が出ませんよね。寧ろ、値上げしない限り赤字の垂れ流し状態になります。

メーカーの場合は、販売価格を決める際に、全部原価計算の発想で値決めをする事が必須です。今回のケースでは、下記のように値決めの計算してみてはいかがでしょうか。

目標粗利益2万円÷(販売単価13万円-投資回収コスト1万円-製造人件費2万円)=粗利益率20%

‘3、間接人員のコストを考える

営業に携わった経験のある方は、もしかして会社からこんなの事を言われませんでしたか?「営業は自分の人件費の3倍稼ぐ必要がある。1つは自分自身の人件費を賄うため・1つは会社の維持発展のため・1つは事務職等の間接人員の経費を賄うため」これは概ね本質を突いていると思います。こういった重責を任され、その期待に応えるからこそ、多くの会社で営業は最も重要なポジションの一つであり、花型の仕事であるのです。

販売単価を考える際の、原価計算の発想も同様です。その製品を販売することによって、「その製品自体の原価及び投資コスト・会社の利益・間接人員のコスト」の全てを賄う必要があるのです。つまり、販売価格は1・2までに掲げた、「目標粗利益・材料などの変動費・投資回収コスト・製造人件費」に加えて、間接人員等の事務コストも勘案して計算する事が求められるでしょう。

ただし、この計算方法はメーカー以外なら1、メーカーなら2と同じ算式でよいと思います。なぜなら、目標粗利益率は当然の事ながら、会社の維持継続に必要な固定費を賄えることを前提に決定されているはずだからです。

大切なのはこういった考え方です、会社の維持管理に必要な間接コストが下がれば、目標粗利益率も下方修正する事が可能となり、より手の届きやすい値段で製品を提供できるかもしてませんよ。

管理会計は知識というよりも、スキルであると感じます。知識を身に付けた後は、現場で活用し、経験値と実用性を高めて、より管理会計を自分の物として使いこなせるように努力していきましょう。

ご閲覧ありがとうございました!

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