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スムーズに法人口座を開設するためには

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年商3億円未満の会社のための財務改革 ミライ財務®

こんにちは!

経営コンサルタント・税理士の森です。

本日は、スムーズな法人の銀行口座開設を行うために必要なことについてお伝えします。

設立して間もない新設法人から「金融機関の口座が開設できない」という相談が以前さらに増加しています。口座開設に関連した2024年6月1日の日本経済新聞の記事も、ありました。

●起業家装い法人口座開設 銀行欺き、マネロン700億円
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF242N10U4A520C2000000/

今日はその記事概要、また口座開設時の金融機関の実態、さらに事業者側が金融機関からの信用を得る方法を紹介しましょう。

  • 日経記事「起業家装い法人口座開設 銀行欺き、マネロン700億円」概要日本経済新聞の記事「起業家装い法人口座開設 銀行欺き、マネロン700億円」の概要は以下のとおりです。
  • 700億円の犯罪収益をマネーロンダリング(資金洗浄)したとされるグループが実態のない約4000の法人口座を悪用
  • 犯罪収益移転防止法は金融機関に対し、法人口座開設の際には名称や本店の所在地▽取引目的▽事業内容▽実質的支配者――を確認するよう義務付けている
  • 金融機関の口座開設のノウハウを伝える指南書が存在していた
  • 法人口座は高値で売買されている(買い取り金額は最大400万円)
  • 不正利用が発覚し金融機関が23年4~12月に利用停止や強制解約した口座数は全国で8万1367件となった
    2、今までの法人口座開設の際の金融機関の調査方法
    昔から都市銀行や地方銀行での法人口座開設はハードルが高かったのですが、地域密着型金融機関といわれる「第二地方銀行」「信用金庫」「信用組合」では比較的ゆるい状態でした。
    しかし2021年ごろから地域密着型金融機関でも法人口座開設のハードルが上がり、最近は新設法人の口座開設が困難になっています。

    日経の記事にもあるように、法人口座を開設する際、金融機関は申請している法人の名称や本店の所在地、取引目的、事業内容、実質的支配者を確認するように義務づけられています。それだけでなく多くの金融機関は、その法人を訪問し対面調査やホームページの内容の吟味等を行い、「事業実態があるかどうか」を確認しています。そこで「事業実態がある」と明確に把握できた場合にのみ、口座開設を行ってきました。

    3、金融機関の口座開設審査の裏を突く「指南書」
    しかし不正に法人口座の作成を続けていた犯罪グループは、金融機関の口座開設審査の裏を突く「指南書」を作成していたとのことです。記事で紹介されていた指南書の内容は下記のとおりです。
    ●IT(情報技術)関連やコンサルタントを目的とする実態のない法人を新たに登記し設立
    ●ネット銀行や自宅近くの金融機関で口座開設
    ●開設先として選んだ理由を尋ねられた場合には、「自宅に近いから」「(自分の)事業が地元密着型のため」と答える
    ●面談でよどみなく答えられるよう、架空の事業内容などを暗記する

    金融機関側としては、口座開設のための必要書類がそろっていて、対面調査でも質問への受け答えが自然であれば、不正を見抜くのは難しいでしょう。

4、法人口座開設の審査は今後さらに厳格化。真面目な事業者が口座開設する方法とは
今回の事件で、金融機関におけるマネーロンダリング対策がさらに厳格化されることが予想されます。そうなると、今よりも法人口座開設が難しくなるのは間違いありません。

今後は、よほどのことがない限り法人口座の開設は認めない方向に進む可能性は高いでしょう。しかしもちろん、まっとうな事業者が、まっとうに口座を開設する方法はあります。
(1)口座を開設している金融機関との取引が長年継続している地元の個人が、法人を設立する場合金融機関のテリトリーに長年居住していて、当該金融機関で継続的な取引を行っている個人が、自宅近くで法人を設立する場合は、実態把握がしやすいため比較的法人口座を作りやすくなるでしょう。

ただし普通預金での継続取引は金融機関にとって実態把握が難しいため、定期預金や定期積金等の定期性預金取引の継続や、投資信託や保険等の預かり資産取引の継続が必要になります。「普通預金取引」だけでは、金融機関から「顧客」と考えてもらいにくいと認識しておきましょう。

(2)定期積金を契約し、継続的に集金に来てもらう
信用金庫や信用組合には、「定期積金」という貯蓄性の預金商品があります。
毎月同じ日に同じ金額を貯めていくもので、担当者が集金に来てくれます。定期積金をすると毎月担当者と顔を合わせる機会があるので、金融機関は時間をかけて実態を把握することができます。時間はかかりますがそれだけに効果的で、法人口座開設に応じてくれる可能性が高くなるでしょう。

定期積金の契約は、普通預金口座がなくても可能です。先に定期積金を契約して信用を積み上げてから、普通預金口座の開設を依頼すればスムーズでしょう。

(3)日本政策金融公庫で創業融資を申し込み、可決されてから近隣の金融機関で普通預金口座を申込む

(1)日本政策金融公庫に創業融資を申し込んで
(2)可決されてから金融機関に口座開設依頼をする

公庫が創業融資を可決した事業者なら、金融機関も「事業実態は公庫が調査済み」「反社会的勢力かどうかも公庫が確認済み」と判断できるため、口座開設を断る理由はなくなります。公庫から創業融資の認可をもらえば、信用金庫や信用組合なら、よほどのことがない限り口座開設に応じてくれると思います。

(4)口座を開設したい金融機関と強い絆を持つ取引先に紹介してもらう
どの金融機関の支店にも、「重要取引先」が存在します。重要取引先とは、「多額の融資をしている取引先」「多額の預金取引をしている取引先」「多くの手数料を稼がせてくれる取引先」などです。

このような重要取引先は金融機関からの信頼が高く、多くの収益をもたらしてくれるので、良好な関係を続けるために金融機関は日ごろから慎重に接するものです。
そんな重要取引先から「知り合いの法人の口座を開設してほしい」と頼まれると、前向きに検討してくれやすい傾向にあります。

今後、金融機関での法人口座の開設はますます難しくなってくるでしょう。しかし上記のような方法、重要取引先からの紹介、さらに「金融機関から信頼されている士業・コンサルタント」からの紹介なら、依頼に応じてくれる可能性は高くなります。

ご閲覧ありがとうございました!

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