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生命保険の契約者貸付を活用して経営者貸付を精算する方法

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年商3億円未満の会社のための財務改革 ミライ財務®

こんにちは!

経営コンサルタント・税理士の森です。

本日は、生命保険の契約者貸付を活用して経営者貸付を精算する方法についてお伝えします。

「顧問先が、金融機関から融資を断られた」との相談をよくいただきます。

謝絶理由はさまざまですが、「多額の経営者貸付があるから」も少なくありません。金融機関は、「多額の経営者(役員)貸付がある企業」への融資を避ける傾向が強いもの。またプロパーではなく信用保証協会の融資だと、「多額の経営者貸付がある企業」には信用保証がつきません。

額にもよりますが、一度発生した経営者貸付は一瞬で解消できないでしょう。金融機関から「経営者貸付がネックです」と言われたら、士業・コンサルタントとして顧客にどんな対策をアドバイスしますか?

1.効果なし!「他の金融機関から借りて返済」

まず思い浮かぶのは、「他の金融機関から借りて返済」でしょうか。しかしこれには意味がありません。通常、個人で金融機関から融資を受けた場合は、信用情報機関にその情報が登録されます。企業の場合も、初めて融資を取り扱う取引先だと、金融機関は代表取締役の信用情報照会を必ず行います。

既存の取引先に対しては、タイミングによって信用情報照会を行わないことはあります。が、前の融資から期間が空いたときなどは、再度信用情報照会を行うことが少なくありません。

信用情報照会時、経営者に多額の借入があれば法人の融資審査に良くない影響を与えるため、その融資自体も否決になることがあります。

経営者が他の金融機関から資金調達を行って法人の経営者貸付を返済しても、法人への融資が否決される可能性は否めません。

2.経営者貸付を減らす各種方法のメリット・デメリット比較

経営者貸付を減らす方法は複数あります。すべての企業ができる方法ばかりではありませんが、一般的な中小企業が比較的着手しやすい方法を、メリット・デメリット・前提条件などを比較しながら紹介しましょう。

(1)役員報酬から返済

●オーソドックスだが時間がかかる

(2)経営者借入金と相殺

 ●経営者借入金があれば…

(3)経営者が個人で資金調達を行って返済

 ●資金調達を行った金融機関に経営者個人の毎月返済が発生

(4)経営者の資産を法人に売却して相殺

 ●経営者から法人に売却できる資産があれば…

(5)事業承継を行い役員退職金で相殺

 ●事業承継のタイミングに合えば…

(6)生命保険の経営者貸付を利用して返済

●検討の余地あり。次項で詳説 

3.スピード優先なら「生命保険の契約者貸付」利用

問題の本質的な解決にはなりませんが、近い将来、金融機関に融資を申し込むときに効力を発揮するのが、「(6)生命保険の経営者貸付を利用して返済」です。前提条件は、生命保険の経営者貸付で資金調達できる金額が、

法人に対する経営者貸付の金額を上回っていること。この点をクリアしているなら、即効性のある方法です。

4.大きなメリット – 信用情報機関に登録されない

「生命保険の契約者貸付」は、上記で説明した信用情報機関にその情報を登録されません。

この方法で資金調達して法人の返済を行っても、「経営者への貸付を経営者が自力で返済した」という事実しか残りません。法人の融資審査に悪影響を与えることがないのです。

今後もちろん生命保険会社への返済は発生します。しかし金融機関からの借入と違って、毎月の一定金額返済ではく、返済の金額やタイミングは任意。経営者にとっても使い勝手のいい方法だと言えるかもしれません。 

5.経営者貸付を残して融資を申し込むときの2つの資料

「生命保険の契約者貸付を利用した経営者貸付返済」は、即効性があります。が、「生命保険の契約者貸付」で資金調達できる金額が「法人からの経営者貸付」の金額を下回っていればこの方法は使えません。

「役員報酬で地道に返済」しか経営者貸付を解消する方法がない場合、経営者貸付が残っている間は金融機関からの資金調達は難しくなります。それでも借りられる確率を少しでも上げるための、添付資料2点をご紹介しましょう。

(1)経営者貸付が発生した顛末書

経営者貸付といっても、発生した理由・原因・背景はさまざまです。

「個人の遊興費」「個人的な投資で被った損失への穴埋め」などでしたら同情の余地はありません。しかし背景によっては、事情が変わってくることもあります。

1/個人事業主の融資を法人に切り替える際、法人で融資を実行し、

その資金で個人の借入を返済

2/個人には「会社からの貸付」という形にしたため、法人の貸借対照表上は

「社長への貸付金」と「長期借入金(金融機関)」が同時に載っている

上記だと、金融機関によっては「致し方なし」と納得してくれることがあります。とはいえ、あくまでも「事前に説明した場合」においてです。

融資申請時には経営者貸付に触れず、金融機関から指摘された「後」に説明した場合、金融機関は「眉唾かも」「他にも隠していることがあるのでは」など不信感を持ちます。「先に言えば説明」ですが、「後に言えば言い訳」です。融資を申し込む際に「経営者貸付が発生した顛末書」を作成しておくことで、金融機関の印象を和らげることができます。

(2)返済計画書

「経営者貸付」が順調に減っていれば、その姿勢を評価して融資を可決することがあります。これが「返済実績」。説得力が増します。一方、「これから減らす」だと金融機関としては「減らす意志は固いか? 融資した資金が個人に環流しないか?」と危惧します。

行動可能性の高い「返済計画書」を作成し、上記の「経営者貸付が発生した顛末書」とあわせて融資申請時に提出すれば、金融機関の疑念を払拭することができるでしょう。もちろんそれでも、「融資の検討は返済実績を見てから」と断られる可能性は大いにあります。が、「返済計画書」どおり返済が進んでいれば、比較的早期に次の融資申請に前向きに対応してもらいやすくなるでしょう。

コロナ融資の返済が始まる企業が増えるにつれ、「顧客が金融機関から融資を断られた」という相談が会員の士業・コンサルタントから増えています。一つの金融機関から融資を断られると、「他の金融機関で融資を依頼しても無駄」と考えがち。しかし実は、そうでもありません。なぜなら融資の可否は、さまざまな要素が、金融機関ごと、または支店ごとの基準で判断されるからです。

たとえば「経営・財務内容」「経営者の資質や人間性や経営能力」「資料の出来映え」など、企業側の要素。また「金融機関とその企業との関係の深さ」も重要です。さらに「金融機関の融資方針」「支店長の考え方」など、金融機関側の事情も影響します。たとえば「担当者の能力」も、可否を左右する大きな要因です。

これら要素を一つひとつ吟味することで、「断られた」結果をひっくり返すことは可能になります。

ご閲覧ありがとうございました!

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