ブログ

リスケをすると新規融資が受けにくくなる理由

会社の将来に希望と安心を持ちながら、長く経営を続けることができる
そんな未来を提供します
年商3億円未満の会社のための財務改革 ミライ財務®

こんにちは!

経営コンサルタント・税理士の森です。

今回は、リスケをすると新規融資が受けにくくなる理由についてお伝えします。

2020年12月末までに決定したコロナ融資のうち、据置期間を1年以内に設定していた事業者の割合は、日本政策金融公庫で66%、民間金融機関では56%でした。今後、かなりの事業者において、コロナ融資の返済が始まります。しかし新型コロナウイルスの影響は収まっておらず、返済が始まっても返せない事業者が多く存在する事でしょう。

中小融資40兆円、近づく期限 返済開始「1年内」過半: 日本経済新聞 (nikkei.com)

しかし、返済条件を変更し返済期間を延ばしてもらう等の対応(リスケ)を、安易に利用する事はお勧めできません。

それは、以下のような理由があるからです。

1.契約条件変更をすると、新規融資をしてもらいにくくなるから
「契約条件変更」をお願いする方法とは、「条件変更契約書」を新たに差し入れ、現状の契約内容で据置期間のみを延長してもらうこと。いわゆる「リスケ(リスケジューリング)」と言われる方法です。「リスケしている企業」=「返済能力のない企業」と判断されてしまうため、金融機関が新規融資に二の足を踏むのは当然でしょう。

現在、金融庁から金融機関に、「コロナ関連融資に関しては、当該融資をリスケした場合でも、積極的に新規融資に応じること」という要請が出ています。ただしその要請には残念ながら強制力がなく、従わない金融機関が大半を占めているのが現状です。


2.この件について、なぜ金融機関が金融庁の要請に従わないのか
金融庁の要請は、金融機関にとって「指示」のようなものです。が、この件に関して金融機関はなかなか従いませんし、金融庁も強く言えません。なぜならリスケ先に新規融資を行うことで、収益がマイナスになるからです。

リスケをしてしまうと、その企業の「格付け」は下がります。「格付け」が下がると、金融機関は「貸倒引当金」を積み増さなければならなくなります。貸倒引当金は金融機関にとって、「費用」。貸倒引当金を積み増せば、収益は減ります。

たとえば、すでに廃止された金融検査マニュアルでの「要管理先」になった場合は、貸倒引当金を20%程度積まなければなりません
(現在は金融機関の裁量に任されています)。

金融検査マニュアルによる格付けは、下記【金融検査マニュアル別表の概要1】のPDFがわかりやすいでしょう。
例に出した「要管理先」の位置をご確認ください。 ※繰り返しますが、金融検査マニュアルは2019年12月に廃止されています


【金融検査マニュアル別表の概要1】
https://www.fsa.go.jp/singi/yuusiken/siryou/appendix01.pdf#page=6

そうなると、新たに1千万の融資をした場合、それだけで2百万円の貸倒引当金を積まなくてはならなくなります。
貸出金利2%~3%の先に対する20%の貸倒引当金は、金融機関にとって大きなデメリットです。わかりやすい説明のために極端な例を挙げましたが、リスケ先に金融機関が新規融資をしない理由はご理解いただけたと思います。

3.借り換えなら貸倒引当金を積み増さずに済む
一方、借り換えなら正常の融資となるため、企業の格付けが下がることがありません。つまり金融機関としては、貸倒引当金を積み増す必要がないのです。また、当初融資したときと状況が変わっていない場合、よほどのことがない限り、同額借り換えなら金融機関も保証協会も断る理由がありません(新型コロナウイルスの影響が大きすぎて、財務内容や経営内容が致命的なほど悪化している場合はその限りではありませんが)。

今後、1回目のコロナ融資で借りた資金が枯渇する企業が出てくることは、金融機関も予想しています。そのとき企業の格付けが「正常先」なら対応可能ですから、借り換えには比較的前向きに応じてくれます。


4.借り換えにあたっての注意点
2021年12月末日までに日本政策金融公庫で借り換えする場合は、問題はありません。が、「民間金融機関による実質無利子・無担保制度」で借りているコロナ融資を借り換える場合は、注意が必要です。

なぜなら借り換えることにより、「金利」「保証料」が必要になるからです。「民間金融機関による実質無利子・無担保制度」では、3年間の金利と、保証期間全体の保証料がゼロになっていました。しかしこの制度は2021年3月31日で終了したため、新たに借り換える場合は、「金利」も「保証料」も必要です。

よって、「民間金融機関による実質無利子・無担保制度」を利用した事業者の選択肢は3つ。
1/金利や保証料を払わず返済を始める ←可能ならこれがベスト
2/金利や保証料を支払ってでも、返済猶予を延長する(借り換え)
3/将来の融資による資金調達をあきらめ、条件変更を依頼する(リスケ)
事業者は(もちろん自己責任で)、この3つの選択肢からいずれかを選ばないといけません。

中小企業支援者の皆様は、事業者が後悔しない選択ができるよう、最新情報と照らし合わせながら、企業の状況に応じた細かいアドバイスをしてください。上記と相反することですが、リスケをしたからといって絶対に新規融資を借りられないわけではありません。


実現可能性が高く、将来性のある事業計画書(経営改善計画書)を作成すれば、新規融資を引き出すことは不可能ではないのです。
その資金でリスケしている債務を決済すれば、「正常先」へ格付けが上がるため、その後の新規融資も可能になります。

ご閲覧ありがとうございました!

☆☆起業家・東武東上線沿線企業の経営者・中小企業支援者向け情報☆☆

①社長塾                                                 弊社は定期的に中小企業経営者向けの勉強会等を主催しております。                                       会社経営に関する情報収集にお役立てください。

②生命保険会社・金融機関・士業向け勉強会実施中(事業承継・財務改善等の勉強会実施実績あり)                                                         生命保険会社・金融機関・士業向けの、個別・集合勉強会を承っております。お気軽にご相談ください。

③YouTubeチャンネルでも、独立開業に役立つ情報を発信させて頂いております。
【起業家・建設業】成功経営情報局
サクセス・マネジメント・コンサルティング税理士事務所 – YouTube

④LINE@に登録いただいた方には、ブログやHPでは配信しない情報もお届けします。                 お気軽にご登録ください↓↓↓

ホームページサクセス・マネジメント・コンサルティング税理士事務所/株式会社 | サクセス・マネジメント・コンサルティング税理士事務所/株式会社は、地元に密着した、財務改善に強い税理士です。サクセス・マネジメント・コンサルティング税理士事務所/株式会社は、地元に密着した、財務改善に強い税理士です。smc-zei.com

【注意事項】

本ブログは、一般的な情報提供として掲載させて頂いている記事ですので、下記についてご留意くださいますよう、お願い申し上げます。

・ 本ブログ は、一般的な情報提供を目的として、原稿を執筆した時点の税制を基に作成しております。このため、諸条件により本ブログの内容とは異なる取り扱いがなされる場合がございます。

・実際の経営判断及び税務判断等は税理士・弁護士の方々と十分ご相談の上、ご自身の責任においてご判断下さい。                                                                  ・一般的な情報提供として、読者向けに分かりやすくするため、表現や数字を単純にしたケースを記載している部分がございます。

関連記事

  1. 税金を分納する場合のリスク
  2. 経営者保証を外すサポートをするには
  3. 金融機関の本業支援と専門家の活用
  4. 信用保証協会と連携を密にしている銀行とは
  5. 自社に合った補助金の見つけ方
  6. なんで公庫では1,000万円以上借りられないの?
  7. 銀行から融資を受けられなかった場合の対処方法
  8. 自社の銀行格付けの目安が知りたい

最近の記事

PAGE TOP