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町工場の原価削減方法

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こんにちは!

経営コンサルタント・税理士の森です。

今回は、町工場の原価削減方法についてお伝えします。

ものづくりの現場では、材料費・工員の人件費・外注費など様々なコストが発生します。近年は金属や半導体部品など材料費の高騰なども続いており、大手メーカー各社は原価削減のために血の滲むような努力をしています。

ところが、中小の町工場では、経営者が高齢であったり、業界経験の浅い人材が後継者として就任するケースも珍しくなく、原価削減の取組みが遅れているケースも散見されます。適正な粗利益の確保は製造業の最重要課題の一つであり、常に改善を心掛けるべき経営課題です。

中小の町工場は財務体質が脆弱であるケースも多く、資金力の不足から大量仕入れを行って原価を引き下げるような大手メーカーのビジネスモデルは通用しません。小規模な製造業でも実行可能で、効果の出る原価削減方法を検討していきましょう。

1、歩留り率を上げる

材料を仕入て加工するうえで、どうしても仕損品がが出てしまう事があると思います。仕損品を出したという事はお金を捨ててしまったのと同じことです、可能な限り仕損品の減少に努めると共に副産物(金属部品として販売するなど)として販売できないか検討してみましょう。

また、同じ製品を作る際にも使用する材料の量が多かったり少なかったりすることもあるでしょう。例えばおにぎりを作るときに、同じ大きさのおにぎりでも強く握ると米の量は多く必要になるでしょうし、軽く握れば米の量は少なくて済むと思います。もちろん、目指すのは顧客に満足して頂けるクオリティを維持したうえで、最低限度の量の材料で製品を製造する事です。

2、必要な分だけ材料仕入を行う

これは逆に材料の購入価格が高くなってしまうかもしれませんが、必要な時に必要な分だけ材料を購入&製造する事で、在庫の量を減らすことができます。在庫の量が減るという事は、在庫として寝てしまう現金の量が減るので、より少ない運転資金で経営ができるようになります。

ビジネスの世界においては、基本的に利幅の良さと資金繰りの良さは反比例します。要するに、利幅を高くすると入金までの期間が長くなったり大量仕入を行う必要が出てきたりして資金繰りが悪くなります。逆もまたしかりです。

また、在庫として抱えるにしてもその在庫の性質によって、どの程度の在庫を抱えてよいのか判断は変わってきます。

例えば、白金・銀・ロジウムのような貴金属や、チップコンデンサ・リードのような基本的な半導体部品などは仮にすぐに使わなかったとしても、様々な製品の製造に使用可能なので、先ず無駄になることはありません。当然、それは他社においても同じことなので、材料のまま転売することもできます(ただし、貴金属の中でも金のようにほとんど錆びないものと、鉄のように錆びる物があるので個別に判断しましょう)。

その一方で、アパレル製品などは非常に質の悪い在庫です。絹や綿ではなく、既に製品になってしまっているので他に転用もできませんし、シーズンや流行が去ってしまい人気が無くなると、もう行く先はバッタ屋に叩き売りされるか焼却処分するしかありません。売り切れなければ、在庫はあっと言う間にゴミの山になってしまいます。

素材のままの材料など、市場価格があり汎用性のある材料は多めに在庫として購入しておいても良いかもしれません、無駄にはなりませんので。その一方で、既製品となってしまった在庫は正規の価格で売却できる分だけ在庫を持つことを目指しましょう。

3、生産スピードを上げる

製品の生産スピードを上げる事によって、同じ工員の人件費でも生産できる製品の量が変わってきます。

当然ながらより短い時間で、より多くの製品を生産できる方が粗利益増加につながりますし、早期に材料仕入→製品に加工→販売→売掛金回収というプロセスを踏むことができますので、在庫削減につながり運転資金が減少します。

生産スピードを上げるためには、後述の4・7の取組みを参照してみましょう。また、作業開始前のキックオフミーティングなど、コミュニケーションも重要です。

4、非付加価値活動時間(無駄な時間)を減らす

工場の中には価値を生んでいる時間とそうでない時間とがあります。価値を生むとは、端的に言えば売上につながっている時間か否かという事です。

製品を生産している時間・有意義な会議をしている時間は価値を生んでいる時間ですが、特段同席の必要もないのにオブザーバー参加している会議の時間や手待ち時間。プリンターの前で印刷した用紙が出てくるのをボーっと眺めている時間・トイレでコッソリ携帯をいじっている時間・後片付けをしている時間など、売上に繋がっていない時間も非常に多くあります。一体人件費のうちいくらがこういった非付加価値活動時間に使われているのでしょうか・・・

当然人間なので、1日の勤務時間ずっと全力集中で働くことなどできません。リラックスする時間も必要でしょう。

ただ、無駄な会議・ミーティングの削減など、改善すべきところも色々とあると思います。特に会議は人件費を中心に非常に多くのコストが発生します。人件費など時間の経過とともに発生するコストは目に見えない物ですので、より注意して削減していきましょう。

非付加価値活動時間を見つけるためには、業務日報を作るのがよいでしょう。一日の作業時間等を集計してもらい、無駄な時間が無いのか調査し改善していきます。ただ、気を付けなければいけないのは、こういった業務日報を付けていると「みんなのために積極的に雑用をやった人ほど非付加価値活動時間が増えて損をする」という点です。

会社全体の雑用などで、「非付加価値活動時間」が増えた場合には、そもそもその雑用を無くすためにはどうしなければいけないのか。会社全体のために率先して雑用を引き受けてくれた人に人事評価で加点するなど、対策を考えておく必要があるでしょう。

5、仕入先を見直す

社歴の長い会社ほど、昔からの付き合い等で仕入先を固定してしまっています。

確かにビジネスは一人で行う事はできませんので、人との信頼関係の醸成は大切です。ただ、だからと言って世間相場から乖離した価格で仕入を行っていい理由にはなりません。

昔は義理と人情で取引をしていても十分な利益が確保できたのかもしれませんが、現在の経営環境においてそんな余裕はないのです。

常に自社が仕入れている材料は世間相場と比較して高いのか安いのか。支払条件は良いのか悪いのか。比較検討しながら、取引を続けていきましょう。

6、内製化率を高める

メーカーが外注している仕事は、利益を外に逃がしてしまっているのと同じです。

自社では生産を一切行わないファブレスメーカーならともかく、自社が生産能力を持っているのでしたら現在のリソース(人・設備など)の中で内製化できる仕事を増やせないのか検討してみましょう。

一般的には、工員の成長に伴って内製化率は上がっていきます。工員が成長すれば生産性も上がってきますので、自社の生産能力も増強されていきます。研究開発や設備投資と同様に、人への投資も将来的な利益につながる可能性があるのです。

7、設備の稼働率を上げる

導入してから殆ど使用していない設備や、1日数十分・数時間しか稼働していない機械等の設備はありませんか。

その設備の購入価格及び維持費は、設備の稼働率に関係なく発生します(稼働率が極端に増えれば維持費が嵩むかもしれませんが)。

ですので、設備の遊休時間を使って他の製品が作れないのか。はたまた、設備が遊んでいる時間を他の会社に時間貸しする事ができないのか。色々と検討してみましょう。

同じ設備の購入代金・リース代金を支払っていても、使用頻度によって経費の有効活用の度合いは変わってきます。例えば、単身で賃貸マンションを借りた時に同じ毎月10万円の賃料を支払っていたとしても、テレワークでほぼ毎日一日中家の中にいる人と、平日の早朝から夜中まで会社で働いており土日も外に出かけている人とでは、毎月の家賃の有効活用の度合いが違ってくるでしょう。

あくまでも設備投資は、利益を生むために行うものです。いかに設備を活用して、粗利益を稼いでいくのか考えていきましょう。

町工場の長所は小回りが利いて融通が利く事・直ぐに行動できるのでスピード感がある事・経営改善の取組みがすぐに成果に結びつきやすい事です。これからはより業界内の統廃合も進んでいきます、生き残れる企業であり続けるために勤勉努力をしていきましょう。

ご閲覧ありがとうございました!

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