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中小企業の事業承継問題の5つの切り口

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年商3億円未満の会社のための財務改革 ミライ財務®

こんにちは!

経営コンサルタント・税理士の森です。

中小企業の事業承継問題の5つの切り口についてお伝えします。

コロナ禍も中小企業経営に甚大な被害を及ぼしていますが、近い将来コロナ禍以上に恐ろしい社会問題が待っています。

それが、「中小企業の事業承継問題」です。

2025年に70歳を迎える経営者は、約245万人。そのうち7割近くが後継者不在で、事業承継できるか不透明な状況です。

仮に、このまま中小企業の廃業が進めば、22兆円以上GDPが喪失し、650万人の雇用が喪失する可能性があると試算されています。650万人という数字は、千葉県の人口と同程度です。

これからは中小企業としても、はたまた中小企業の経営支援をしている自治体や士業等の先生方としても、中小企業の事業承継問題の解決に本腰を入れて取り組んでいく事が求められていくでしょう。

中小企業の事業承継は、「個人と法人が実質的に一体」という中小企業特有の業態を巡って、様々問題が噴出してきます。中小企業支援者としては、経営・法務・税務・ファイナンスといったマクロの観点から、横断的に事業承継を支援していく事が求められるでしょう。

1、財務の視点

中小企業経営において最重要な事は、毎月毎月現金を増やしていく事です。

事業承継によって、高額の株式買取資金が必要になったり、金融機関等が提案してくる借入金で株式を買い取る事業承継対策を実施してしまう事によって、せっかく築き上げた会社内部留保が留出してしまいます。

確かに内部留保が厚く、手元資金の多い丈夫な会社は株価が高くなりがちです。

ただ、企業経営においては内部留保の潤沢な、強い会社を作ることは何ら間違えていません。寧ろ、株価を下げるために安易な節税対策を連発した結果、会社の貯金を痛めつけてしまう方が問題かと思います。

2、後継者の視点

親族である後継者・社内の第三者社員である後継者・M&Aで企業買収される場合の買手企業、それぞれにメリット・デメリットがあります。

また後継者は、きちんと社員の処遇を考えてくれるのか。社員や取引先等の信頼を得られるのか。自社の経営理念を理解し実行してくれるのか。能力や人格から後継者として適切な人材を選定しましょう。

日本企業の多くは、現在においても後継者になると会社の借入金の連帯保証人にならなければいけません。連帯保証人になることに対する、配偶者を始め後継者の周囲の人々の理解を得られるのかも重要な点になります。これに関連して経営者のパートナー選びについて言及させて頂くと、人間誰しも好きな人と一緒になりたいという気持ちはあると思いますが、残念ながら経営者になる人間としては「経営者として相応しいパートナー」を選ぶという視点が重要になってくるでしょう。

例えば、後継者が連帯保証人になることに対して目を丸くして猛反発したり、土日祝日は休んで当たり前、先代の残した借金の返済責任がなぜ後継者に来るのか理解できない、後継者の事業に全く協力する気はない、連帯保証人になって会社を承継するよりも普通の会社員でいた方がリスクとリターンが見合っている。こういった人を後継者パートナーに迎えると悲惨ですよ?経営者のパートナー選びは、好きという感情だけではなく、経営者の配偶者として適切な人をパートナーとして迎えましょう。

3、株の視点

優良企業ほど株価が高額になっています。

適切なタイミングで後継者へ株を移していきたいものです。一般的には、親族以外の後継者へ株を移す際には、どうしても株式の買取資金が不足しがちです。通常の財産移転の流れでは、先代経営者に万が一の事があると、奥様とそのご子息へ株が移っていくものですが、第三者である後継者は他人なので、通常の財産の流れとは別の形で株の承継を行うわけです。自ずと株価を減らすための対策も、限られたものになってきます。

中小企業の株式の困った点は、税金の計算上は評価が高いのに市場での換金性が基本的にない事です。つまり、後継者として会社を引き継ぐ際には必須の財産ではありますが、後継者個人としてみれば余り財産価値がありません。それなのに、税金の評価が高いから高額の買取資金が必要になるのです。

「税金の計算上は評価が高いのに市場での換金性が基本的にない」中小企業の株式の性質は、後述の相続の場面で大きく問題になってきます。

4、相続の視点

納税と遺産分割が相続の主なポイントです、次いで相続税の納税額を適切にすることでしょう。

中小企業の経営は、社長と会社が表裏一体であるので、先代経営者個人の相続の問題とは切っても切れない関係があります。

まず、会社で使用している工場や土地・機械などの資産は先代経営者個人名義である事が珍しくありません。先代経営者に万が一の事があったら、会社経営に関与していない相続人が会社で使用している資産を引き継ぎ、相続税の納税資金に充てる等の理由で、「会社で買い取って欲しい」や「第三者へ売却したいので立ち退いて欲しい」と要求される可能性があります。これでは事業の継続が脅かされてしまいますね。

また、中小企業の株は税金の評価は高くなる傾向にあるので、後継者が中小企業の株を全て承継すると、相対的に後継者以外の相続人の取り分が少なくなって、「後継者は俺たちにもっと財産をよこせ!」と遺留分減殺請求をされてしまうかもしれません。

そもそも、後継者からしてみたら中小企業の株は基本的に現金化できないので、相続税の納税資金を工面するのに一苦労です。更に、遺留分減殺請求をされて他の相続人へ追加の相続財産を渡す必要が出てくると、尚更キャッシュが足りなくなってしまいます。

日本は法の下の平等と経営権の集中を両立させる事が非常に難しい国なのです。

5、連帯保証の視点

中小企業の場合は、多くのケースですと先代経営者の残した借金を後継者個人が連帯保証人としてが引き継ぐことになります。その連帯保証を巡って、後継者の配偶者やその両親との軋轢が生じるケースも珍しくありません。

連帯保証に対しては、生命保険を活用した事業保障の確保・経営者の保証に関するガイドラインの活用等で対処していく事になります。なお、後継者が先代経営者の死亡によって連帯保証人になった場合でも、一般的には相続税の債務控除が受けられないと解釈されています。

事業承継問題の解決に本腰を入れて、この先も豊かな日本であり続けられるように努力していきましょう。

ご閲覧ありがとうございました!

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