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会計にフィンテックを活用することによる副作用とは

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年商3億円未満の会社のための財務改革 ミライ財務®

こんにちは!

経営コンサルタント・税理士の森です。

本日は、会計にフィンテックを活用することによる副作用についてお伝えします。

近年、クラウド会計に加えて、預金やクレジットカードデータの取込自動仕訳・領収書をスキャンして自動仕訳されるなど、非常に便利な機能が登場しています。このようなフィンテックサービスは、経理の生産性を高める便利なツールですが、頼り過ぎると自身の会計的な能力が育たなくなってしまう諸刃の剣にもなるのです。

会計業務におけるフィンテックの危険性について見ていきましょう。

1、会計的な素養が身に着かなくなる

昔は1取引毎に伝票を起票し、それを集計して試算表を作成していました。その結果、会社のお金がどのように周って、その結果どうして利益が出たのか。資金が増えたのか。そういった数字の流れが刷り込まれていきました。これが、基礎的な会計力を身に付ける訓練になっていたのです。

この基礎的な会計的感覚(会計力)があるので、異常な数字が算出されたり、誤った結論が出た時に、修正する必要性に気付けます。ところが、こういったベースとなる会計思考を身に付ける前に、システム(フィンテック)を利用して楽に経理を済ませてしまうと、なぜその数値に至ったのか検証することができなくなってしまいます。

素人だって、ポチポチボタンを押していたら、勝手に最低限の試算表・決算書ができるので、それでよいのだと思い込んでしまいます。機械に頼っている結果、仮にシステムがはじき出した数字が間違えていても、自社の数字がどこでどのように間違えているのか検証できません。

会計の世界では非常によく言われている事ですが、「簿記(会計)は習うより慣れろ」です。スポーツと同じように、知識があり頭で分かっていても、会計を使いこなす数字の主にはなれないのです。地味でも、入力作業などアウトプットを続けることによって、本物の会計力が身に付いていきます。「会計力」は、業種業界を問わず、ややもすると国境も時代も問わずに活用できる一生もののスキルです。当然ながら、経営者であれば必須の能力です。

システムに使われるのではなく、システムを有効活用できるように、先ずは基礎的な会計力の醸成を図りましょう。簿記検定を受ける事もお勧めです。

2、申告書の仕組みが分からない・チェッカーにもなれなくなる

特に、T●Cなどの高級税務申告ソフトでよくあるケースなのですが、システムが超高性能なので、ロクに申告書の仕組みが分かっていない素人でも最低限度のクオリティである申告書が作れてしまうのです。

その結果、T●Cの事務所から転職してきた職員が「税務申告書の作成経験あり」と言って入社してきても、T●C以外のシステムになった瞬間、申告書が作れなくなるような現象が起きるのです。だって、本当は申告書の数字の連動等の仕組みや書き方を分かっていませんから。

システムに頼っていては、年次を重ねて上司になったときに、部下が持ってきた申告書をチェックできなくなります。また、システムに依存してしまう職員の特徴として、「申告の手引き」等の基本的な説明書を読んでいないという特徴もあります。

3、事業計画書の正確性を検証できなくなる

これも、T●Cのような高性能システムを利用して、事業計画書を作成することによる弊害です。直前の決算数値等を打ち込んでいけば、何となくそれっぽい事業計画書が完成するのです、高性能システムですから。

仮に、数値に誤りや、非現実的な異常値が含まれていても気が付かなくなってしまいます。また、新しい事業を始めた場合や、回収サイトが変化した場合等、イレギュラーな変化に全く対応できなくなります。

事業計画書は、資金繰り等の資金の流れが読めないと、白紙に書くことができません。システムに頼ることによって、本当の意味で魂の入った、活きた事業計画書を作れなくなる危険性が高いのです。

ITは、ナイフ(切る能力)や飛行機(飛行能力)のように、人間が本来できない能力を身に付ける道具ではありません。計算等の人間が本来身に付けている能力を伸ばす道具です。故に、そもそも基礎的な会計力を身に付けていないのに、システム(フィンテック)に頼って簡易的に成果物を作成していると、肝心の会計力が身に付かない、即ち数字音痴のままになってしまう危険があるのです。

経理は自分で伝票一枚一枚を起票し毎月試算表が作れて決算も組めること・申告書は手書きで作成できる事・事業計画書は電卓と白紙のエクセルだけで5年程度の中期経営計画を描けること。これらの「本当の会計力」を身に付けたうえで、効率化のためシステム(フィンテック)を活用していきましょう。

ご閲覧ありがとうございました!

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