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こんにちは!
経営コンサルタント・税理士の森です。
本日は、税務的な観点から収益物件を売却する際の留意点についてお伝えします。
経営者が個人で所有している収益物件を売却するときは、利益の出る売却金額を計算する点や、短期譲渡・長期譲渡の区分をする点などは、多くの方が検討されると思います。ただ、税務の観点からより深く考えてみると、もっと有利な条件で収益物件を売却することが可能となります。
税制改正が非常に多く、所得税・消費税と単体でなく複数税目(所得税&住民税&消費税など)にまたがる厄介な論点ですので、基本的な売却に関係する税務だけは押さえておきましょう。売却後の手取金額が増えるかもしれませんよ。
1、収益物件を売却した年の減価償却費の計上は総合課税・申告分離課税の税率で選択する
収益物件を売却した年は、その収益物件の売却までの期間の減価償却費を計上することも計上しないこともできます。
ですので、短期譲渡など譲渡所得の税率が、不動産所得を含む総合課税の税率よりも高い場合は減価償却費を計上しない方が有利です。
逆に、収益物件をたくさん持っていたり、多額の役員報酬を受領している場合など個人の総合課税の所得が高い場合は、減価償却費を計上した方が有利になるかもしれません。
2、収益物件の売却で多額の売却収入が入ってくると再来年消費税の課税事業者になる
一般的なアパート・マンションの運用をしているオーナーは、住居の家賃収入(非課税売上)しかないので消費税を納める義務はありません。
しかし、収益物件を売却して1,000万円以上の売却収入が入ってくると、売却した年の2年後に臨時的に消費税の課税事業者になってしまいます。つまり、1年だけ個人でも消費税を納める義務が出てきてしまうのです。
個人で不動産賃貸業だけやっているのであれば、どちらにせよ納める消費税はないと思われるので気にならないのかもしれませんが、例えばお医者さん・士業の先生など、今後個人で多額の売上が上がる可能性がある場合は要注意です。特に気を付けなければいけないのは、今は勤務医・サラリーマンであるが、今後数年以内に独立を考えている場合です。
開業準備資金を用意するために会社員時代に収益物件を1,500万円で売却→翌年独立開業→翌々年に開業してから2年間は消費税の納税義務がないと思っていたのに、2年前に収益物件を売却したせいで開業2年目から消費税の課税事業者になってしまった!という事が、起こりえるのです。
個人でビジネスを始めた方はよくわかると思いますが、開業1年目2年目の消費税の免税期間は滅茶苦茶重要です。この期間に消費税10%が丸々手元に残るので、内部留保を蓄積しつつ3年目以降の課税事業者になるタイミングに備えて売上を上げていかなければいけません。
税理士・弁護士のような士業の場合は、消費税の課税事業者になってしまうと、利益率が約5%ダウンします(簡易課税で計算)。
一般的に消費税を納める義務がある会社は経常利益率5%くらいあれば優秀な会社と言えるので、利益率が約5%ダウンするという事のインパクトの大きさが分かると思います。
3、不動産を売却する年は免税事業者の期間・簡易課税制度の活用を検討する
これは、個人事業主・法人に共通の話です。
不動産の売却収入は数千万・数億円と高額になることが多いので、売却した年には多額の消費税が発生します。
よって、本業の売上が1,000万円超になり、どちらにせよ将来的に課税事業者になるのであれば、消費税を納める義務のない「免税事業者」の期間中に不動産を売却した方が消費税の納税額を抑えることができます。
今は消費税の税率も10%なので、より効果は大きくなるでしょう。
なお、基本的に収益物件賃料(住居用に限る)以外の売上が1,000万円超上がらない事業主(個人法人共に)の場合は、収益物件の売却をすることによって、臨時的に1年だけ消費税の課税事業者になる可能性がある点は、前回の記事でお伝えした通りです。
もし毎年のように、収益物件賃料(住居用に限る)以外の売上が1,000万円超になる場合は、収益物件の売却の有無に関係なく消費税を納める義務が出てきます。その場合は、「簡易課税制度」の活用を検討してみましょう。簡易課税制度は売上から逆算して消費税の納税額を計算してくれる仕組みで、収益物件の売却金額の40%部分にだけ消費税が課税されます。つまり、収益物件の売却によって発生する消費税は、下記のような計算になるのです。
(原則課税)
収益物件売却2,200万円×10/110=消費税の納税額200万円
(簡易課税)
収益物件売却2,200万円×10/110×(1-60%)=消費税の納税額80万円
簡易課税制度を選ぶと原則的に2年間は原則課税に戻れなくなるので、直ぐに新しい物件を購入したいケースなどは注意が必要です。
また、簡易課税制度は収益物件の売却だけではなく本業収入の消費税の計算でも使用することになりますので、その点も踏まえた有利・不利の判定が必要になるでしょう。
4、買換え特例の適用は計画的に
よく銀行系の不動産会社が不動産を転がしてほしいので提案してくる、事業用物件の買換え特例ですが、高所得の個人事業主は逆に買換え特例で課税を繰り延べる方が不利になることもあります。
買換え特例は長期譲渡所得(税率約20%)の一部(70~80%)について課税を繰り延べることと引き換えに、課税を繰り延べた分だけ新しく購入した収益物件の取得価格が圧縮されてしまいます。つまり、所得税・住民税の税率が高い(例えば55%)人が買換え特例を受けると、下記のようにいっとき納税が繰り延べられてもトータルの納税額が上がってしまうのです。
(買換え特例の適用を受ける)
収益物件の売却益1,000万円×(1-80%)長期譲渡所得の税率20%+減価償却費が計上できない分の納税800万×55%=480万円
(買換え特例の適用を受けない)
収益物件の売却益1,000万円×長期譲渡所得の税率20%=200万円
適正なタックスマネジメントをすることによって、同じ売却金額でも手取の収入を増やすことは可能です。
税金を制して、効率的に資産形成をしていきましょう。
ご閲覧ありがとうございました!
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