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資金使途は厳守しましょう

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こんにちは!

経営コンサルタント・税理士の森です。

今回は、融資を受ける際の資金使途の厳守についてお伝えします。

設備資金で借りた資金を運転資金に流用すると融資してもらえなるかもしれません、信用保証協会の保証付き融資の場合はかなり危険です。

1.信用保証協会で設備資金の融資がおりたとき起こること
まずは設備資金のための融資が、信用保証協会付きでおりたときのお話をしましょう。

<事業者>
設備投資への融資がおりると、基本的に事業者は、その設備投資に支払った領収書のコピーを金融機関に提出するのが決まりです。
が、実際に提出しているケースばかりではありません…。

<金融機関>
さらに金融機関も「あの融資に関わる設備の領収書、出してくださいよ」と何度も催促するかといえば、そんなケースばかりとはいえないのが実情です。もちろん「着金したら、即!仕入れ先に振込」を確実に実行するために、あらかじめ振込書を事業者に書いてもらっておく金融機関もあります。しかし、そんな金融機関ばかりかといえば…、なのです。

<信用保証協会>
さらに信用保証協会の側も「あれ、あの案件の領収書がまだ届いていないな。金融機関に催促しておこう」と具体的な行動に出るかといえば、多忙でそこまで手が回らず…、です。
さあ、おわかりでしょう。領収書コピーの不在は、ここまで不問で済まされるケースが多いのです。
では、いつ領収書コピー不在問題が「浮上」するか? 

2.信用保証協会に再度の融資を申し込む時に調査が入る
そうです、次の信用保証協会付き融資のときです。
多くの場合、次回の融資申し込みがあって初めて、金融機関は「前回の融資のときは…」と過去資料をチェックし始めます。保証協会から「前回の融資時の領収書はどうなった?」と尋ねられるからです。
再申請したときに前回融資に関する調査が入るのは、そういう背景があるのですね。

3.資金使途の問い合わせ意図
いま多く寄せられている質問の中心は、ズバリこれです。

質問の真意:
「今回申し込んだ融資ではなく、前回の融資についての問い合わせが入ってくるなんて今ごろになって何を知りたいの?」

その心は、
「前回の融資で貸した資金の使い途は、申請どおりだったか?」です。
ではなぜ信用保証協会は、資金使途を重視して問い合わせてくるのでしょう?
申請した資金使途とは違う目的に使うと、「資金使途違反」になるからです。

<運転資金で借りたものを設備資金に流用したら>
融資を申し込むと、かならず「資金使途」を尋ねられます。
「資金使途」は大きく分けて、「設備資金」と「運転資金」。「運転資金」として借りていた資金を「設備資金」に流用しても、細かく質されることはないでしょう。
なぜなら「設備投資を行ったため運転資金が不足した」と疎明されがちで、実際にそうなることが往々にしてあるからです。

<設備資金で借りたものを運転資金に流用したら>
しかし「設備資金」として借りていた資金を「運転資金」に流用すると、明確な「資金使途違反」として取り扱われます。
「売上や収益の増加を図る」ことを目的として設備投資を行うための融資を行ったにもかかわらず、
当該設備を導入しなかったのですから、審査の前提条件が変わってきます。

「設備資金」を「運転資金」に流用したときの「資金使途違反」には、けっして小さくないペナルティが課されます。

4.資金使途違反のペナルティとは?
以前に保証協会付きで借り入れた融資が「資金使途違反」だった場合、保証協会は基本的に「新たな保証」を行いません。保証協会の保証付き融資を借り入れることは、実質的に不可能です。
また、その措置は当該融資が全額返済されるまで続きます。

5.想定外に安価で設備を購入できたA社の資金使途違反
ある資金使途違反の事例をお話ししましょう。

<浮いた資金を運転資金に流用>
A社は設備資金名目で、申請時に提出した見積書のとおり800万円を、メインバンクB信金から借りました。しかし仕入れ先から割引をしてもらえて、実施の購入額は600万円に。そこで浮いた200万円を、深く考えることなく「これ幸い」と運転資金に流用したのでした。

仕入れ先からの600万円の領収書は、B信金に提出しませんでした。
新しい設備の運用開始で、それどころではなかったからです。またB信金からの催促もありませんでしたし、
「そんなものなのかな」と悪意なく思っていただけです。

<3年後の新規融資申請時、前回融資について問い合わせが入る>
さて3年後にA社は、今度は運転資金として、メインバンクB信金を通して保証協会付き融資を申請。
そこでB信金を通して、保証協会から前回の設備資金の領収書の提出を求められます。
当時、実際に仕入れ先から受け取った600万円の領収書を提出すると、「差額の200万円はどうなったのか?」と尋ねられました。

<新規融資が不可に>
もとより事業者に悪意はありませんでしたから「運転資金に利用した」と正直に回答したところ、「資金使途違反のため新規保証はできない」と言われ、運転資金を借り入れることができなかったのです。

では資金使途違反で傷ついた信用を、どのように取り戻せばいいのでしょうか。
これについては次回お伝えします。

また、A社のように当初の見積書の額より安く設備を購入でき、借りた資金が余った場合はどうすればいいのでしょう。

6.設備資金で借りた資金が余った場合はどうする?
個人的な意見としては、、
「借り入れた金融機関を通して保証協会に問い合わせましょう」

問い合わせ例:
「見積書の額より200万円ほど安く購入することができました。この200万円は、いったん返済すべきでしょうか?それとも運転資金として流用してもいいですか?」

ほとんどの場合は返済を求められます。

しかしまれに「そういうことなら200万円は運転資金として流用していただいても結構です」という返答を得られることもあります。許可が出れば、後顧の憂いなく運転資金への流用が可能です。

保証協会の回答に従った対処ですから、
次に融資を申し込んでも資金使途違反を指摘されることはありません。
予定より安価で設備購入できても、保証協会に相談なく運転資金として流用すると、新規融資をしてもらえなくなります。安易な資金流用は御法度です。

このような金融機関特有のルールに通じた事業者は少なく、イレギュラーなことが起こっても「イレギュラーだ」とさえ気づきません。
「借りた資金が余ったら、まず保証協会に相談」ではなく、「借りた資金が余ることもあるだろう」と安易に運転資金に回しがちです。

A社のように「予想外に設備を安く買えたため、設備資金名目で借りていた余剰資金を運転資金に流用」したケースでも、事業者はまさか「新規融資NG」の重いペナルティを課されるとは思わなかったでしょう。だからこそ事業者をサポートする税理士をはじめ士業・コンサルタントが、融資の前に「資金使途の遵守」「違反時のペナルティ」をアドバイスしておきたいものです。


どの業界でもそうですが、金融機関にも金融機関独自のルールがあります。
ルールを知れば、事業者の融資を安心してサポートすることができるでしょう。ルールがわからない場に身を置くほど、心許ないことはないですよね。融資に強い専門家と、普段からコネクションを持っておくことをお勧めします。

ご閲覧ありがとうございました!

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